BFN.9

2021/07/22

年が明け、連日のやり取りが続く中、各曲の形が、かなり見えてきた。
打ち込み曲が増え、ほぼ半数の曲が、ホリエさんに任されることにもなった。
2月には、札幌・芸森スタジオでの合宿レコーディングが待っている。

1月下旬、私は、「シエスタ」のピアノを録るために、単身札幌入りした。
皆より一足先に、芸森での録音だ。

芸森スタジオは、札幌郊外の芸術の森に位置し、1993年に東京以北最大のレコーディングスタジオとして、かのジョージ・マーティン(Beatlesのプロデューサーである)の監修のもと、オープンした。
数々の有名アーティストが、ここでレコーディングを行っている。
現在、このスタジオを管理しているのが、高瀬清志さん。
北海道の音楽シーンを語る上で欠かせない存在であり、Han-naも、その昔お世話になった方だ。

札幌軟石を使った壁に囲まれたメインブースは 72㎡、20名程度のオーケストラが入るというほどの広さだ。天井も7.5mと高く、天窓から差し込む光が心地よい。素晴らしいアンビが録れそうだ。
そして、この広い空間のど真ん中に、Steinwayのフルコンが、鎮座ましましている。
今日は、ピアノ録りの為だけに、この贅沢なスタジオが押さえられているのだ。
私のごとき、黄色いバイエル(子供向けのピアノ教則本)止まり、後は我流の「なんちゃって」ピアニストには、何だかもったいないようなシチュエーションである。
、、、こういうのを、プレッシャーという。

「シエスタ」は、特別に、思い入れのある曲だ。
ひとみちゃんが星さんの元にいた頃、ショウジやガッちゃん(後々登場する)と箱根で合宿した時に、初めてこの曲を聴いた。ノスタルジックな情景の浮かぶ、その頃から大好きな曲だった。
当時はエレピ一本で演っていたが、ひとみちゃんは、この曲を、ヘンリー・マンシーニの映画音楽のようにしたいと言う。メインテーマがリフレインし、オーケストラとはいかないが、弦楽器を入れる。ピアノと弦楽器中心でアレンジして欲しい、と。

とにかく思いを込めて、自分に出来ることはやった。
素晴らしい楽器とスタジオがもたらす響きにも助けられて、良いものができたと思う。

この日、札幌組の映像スタッフ、大山さんと初めて顔を合わせた。
プロジェクトのメイキングと共に、倉本ひとみのドキュメンタリーを撮るのだそうだ。
ひとみちゃんは、彼のことを「監督」と呼び、その意欲的な姿勢を大いに買っていた。
おかげでその後、河野っち同様、プロジェクトになくてはならない存在となる大山監督が、倉本ひとみの無茶ぶりに振り回されることになったのは、言うまでもない。

合宿の前々日、ひとみちゃんから、プロジェクトのグループLINEに、長文のメッセージが届く。
「芸森合宿!まずは、逢えることが嬉しい!そして、一緒に音を楽しむことが出来て嬉しい!」
「皆さんは倉本にとって特効薬。何よりの先進医療をして下さってます。ありがとう。」
こちらこそ、何より嬉しい言葉をもらった。

そして、札幌は雪まつりの真っ只中、芸森での合宿レコーディングが始まる。

 

to be continued…

ヒトミィク・プロジェクト 広本 葉子

Leave a Comment

入力エリアすべてが必須項目です。メールアドレスが公開されることはありません。

内容をご確認の上、送信してください。