BFN.12

2021/08/17

レコーディング3日目の主役は、忙しい中、ようやく参加に漕ぎ着けたヤンズである。

「有明の月を見ていた」―ギターをメインに据えたこの曲のアレンジは、当初からヤンズに一任されていたが、超多忙な彼がプリプロを上げてきたのが、芸森が始まる一週間前だった。
カホーンのリズムに乗せた、ヤンズならではのエッジの効いたカッティングがカッコいい。そして、このオケを聴いたひとみちゃんには、また新たな景色が見えたようだ。
「歌詞、変える!」
この辺りの彼女の感覚は、すごい。が、私がそれを思い知ったのは、実を言えば、もっと後のことだ。
歌詞そのものは芸森に間に合わなかったが、彼女の頭の中には、すでにその世界観ができていた。
当日、ギター入れはヤンズに任せ、ひとみちゃんは、その間も、新しいコーラスフレーズを考えているようだった。featuring.yanz ということで、コーラスといっても、単なるバッキングコーラスではなく、二人のヴォーカリストが対峙するようなイメージだ。

無事にギター録りが完了し、短い休憩の後、いよいよコーラス録りが始まった。
ひとみちゃんの要求はハードルが高いし、ヤンズもまた、拘りの強いヴォーカリストである。
試行錯誤を重ねて時間をかけ、それを双方楽しんでいるような、充実したレコーディングだった。
そうして、この曲は、当初予定の「有明の月を見ていた」ではなく、「有明の月を見ている」という曲になるのだが、その話はまた、あらためて。

この日、マウントアライブの山ちゃんも、大きな苺を持参して、陣中見舞いに来てくれていた。
「そんなふうに呼べるの、ここの(プロジェクトの)人達だけですよ。すごい人なんですから。」と、札幌組のスタッフが眉を顰める。
山ちゃんこと山本博之氏は、今や北海道のイベントシーンを牽引する人物の一人だが、我々は、古い顔なじみだ。すごい人になった今も、その人となりは変わらない、山ちゃんである。

日が落ち始めた頃、スタジオに緊張が走る。
本日の、もう一人の主役、星さんがいらっしゃったのだ。
11月の「果実ホロ苦く」の後、星さんには、もう一曲コーラスをお願いしていた。
前回のコーラス入れを楽しんでくださって、こちらも快諾していただいたらしい。
星さんは、ひとみちゃんとの簡単な打ち合わせの後、御自身でテキパキとディレクションなさり、サクサクと「カサブランカ」のコーラス入れを終えられた。これぞ、プロの仕事。

この日の夕食は、星さんが加わり、少しお酒も入って、楽しい会食となった。
そもそも、その鋭い眼光(!)と偉大なキャリアにこちらが勝手に萎縮してしまうだけで、星さん御自身は、とても優しく、懐の広い方なのだ。我々若輩者にも、心を配って話をしてくださる。
食後のミーティングでは、その懐の広さに甘えて、ベーシックを録り終えた「風になりたい」を更にパワーアップするべく、ギターアレンジをお願いすることにもなった。まことに贅沢な話である。

バンドとしてのレコーディングは、この日で終了。
ショウジ、なおちゃん、ヤンジー、ヤンズの四人は翌日東京に戻る。
たくさんの思い出が詰まった芸森の日々を、私達は、きっと忘れないだろう。

 

to be continued…

ヒトミィク・プロジェクト 広本 葉子

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