BFN.38

2022/02/14

12月に入っても、ひとみちゃんは相変わらず精力的に動いていた。が、おそらく、私が想像していた以上に、体はしんどかったのではないかと思う。

指の痺れの方は随分マシになっていたが、口内炎が酷くなり、食欲はますます落ちているようだった。
久しぶりに串鳥(札幌の人気焼き鳥チェーン店)が食べたくなって、テイクアウトしたとLINEが来た。
何かを食べたいとか、お腹が空いたなんていう言葉は、滅多に聞けなかったので、それだけで嬉しかったが、冷えて少し硬くなったつくねを口に入れた途端、激痛が走り、口内が血だらけになったそうだ。
「もう、串鳥を食べることはないだろうな。残念!」と、明るく伝えてくれたのが、切ない。

それでも、PV撮影、歌入れ、打ち合わせと、こちらが心配になるくらい多忙な毎日を送っており、そんな中、「奔るオンナ」(原題は「marathon」だった)のデモが送られてきた。
一見、恋愛をモチーフにした曲のようだが、負けるもんか、止まるもんか、とがむしゃらに走り続けるその「オンナ」は、まさに、ひとみちゃんの姿そのものだった。

ホリエさんの仕事は、この時点で飽和状態で、おそらく新曲を送られても満足に聴く余裕がないくらいだったと思う。彼が忙しくしているうちに、謎コード&それより凄い謎ベース(どうもアキが付けていたらしい)の解明をして、コードをつけなければならない。
体調を考えると、この先のレコーディングは歌入れが先になりそうだった。
ひとみちゃんは、「時間のある時にゆっくりでいいよ~」と言ってくれていたが、歌入れ用のオケを1日でも早く届ける為に、私はできる限り作業を急いだ。

一方、フルアルバムとは別に、「CONCIENCIA」と「Good-bye 朱鷺ver.」を、限定盤のsingleとして発売することが決まり、音楽処と玉光堂がタッグを組んで、これを応援してくれることになった。
プロデビューしていたとはいえ、今はほぼ無名の、そして、率直に言って、今後の活動もままならないアーティストをそこまで後押ししてくれるのは、「愛」としか言いようがない。
ただただ、感謝である。

12/10、この日の検査結果は、ひとみちゃんの言葉を借りれば、「予感してた通り、最悪」だった。
小さな影だった腹膜の腫瘍が大きくなり、リンパ節にも転移が見られた。
サードライン、最後の抗がん剤の説明を受けたそうだ。
この薬で効果が出る患者は5割程度、これが効かなければ、4ヶ月で治療法はなくなるという。
「ここから増悪していく患者さんが多いみたい。やっぱ、余命は半年ないね。」
残念なことに、このひとみちゃんの予想は、ほぼ正確だったと言える。
医師からは既に緩和ケアについても言及され、今のうちから、地域医療の連携センターへ行くようにと促されていた。実際、この日早速、ケアマネージャーと会ったようだ。
どこで最期を迎えたいか、入院は望むか、訪問介護を受けるか。そういう話をしなければならない時期に来ているということだった。
夏頃の見立てから、「もう少し時間稼ぎできるかなと思ってた」というひとみちゃんは、さすがに動揺を隠せない様子だった。翌日には「もう大丈夫!緩和ケアの事もしっかりシミュレート出来ました」「たっぷり寝たら、俄然やる気になってきた(笑)」とLINEが入ったが、その心中は計り知れない。

現実は厳しかった。
それでも、鉄の女・倉本ひとみのパワーが5割の壁をやすやすと飛び越えてくれることを、この頃の私はまだ期待していたし、その事は、たとえそれがどんなに僅かな可能性でも、変わらなかっただろう。

2021.09.15 RELEASE
8th Digital Single
「奔るオンナ 」

各種配信サイトにて配信中
https://linkco.re/sAEmc6GV

to be continued…

ヒトミィク・プロジェクト 広本 葉子

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