BFN.43
2022/03/21
2日目のレコーディングは、「My life～」のコーラスと「INORI」の歌入れを中心に進められた。
どちらも、なおちゃんの出番だ。合間を縫って、引き続き、YouTube用のビデオ収録も行われる。
「My life～」のコーラス入れは順調に進んだが、「INORI」の歌入れでは、試行錯誤が繰り返された。
ひとみちゃんは、珍しくかなり細かい要望を伝えていたし、現場でキーを変えたりもした。
一方、なおちゃんの方も、曲を受け取ってから、それを自分のものにすべく取り組んできただろう。
キーにしても表現の仕方についても、ここは双方の考えに相違があってもおかしくないところだ。
互いの主張がぶつかり合い、熱いバトルに発展…などという場面もあるかと思ったが、そんなことは全然なかった。
相違が全く無かったわけではないと思う。そして、その為に現場の雰囲気が少し重くなる、なんてことも他所ではままあることだ。だが、この二人に関して、そんな心配は無用だった。
そこにあるのは、お互いへの信頼であり、「良いモノを創りたい」という共通の強い思いだけだ。
なおちゃんは、ひとみちゃんの指示をしっかりと咀嚼しながら、トライを重ねていた。
その様子を見ていて、私なりに思うところもあったが、この素晴らしいヴォーカリスト二人を前にして、私如きが口を挟む事など到底できない。あのうるさいホリエさんでさえ、口を出さないのだ。
全て二人に任せて、後に入れることになる二胡の事などを、つらつらと考えることにした。
ひとみちゃんは、この日は前日とは逆に、ビデオ撮影そっちのけで卓の前に張り付き、ディレクションに集中していた。
もちろん、このレコーディングがメインであり、彼女が最もやりたかった、彼女にしかできない作業だったから当然なのだが、おかげでネオラジオの何本かは、むさくるしい男ばかりの華のない絵（失礼）になっている。まぁ、「それはそれで味がある」ということで、楽しんでいただきたい。
アキ・ショウジ・ケイゾウの3ショットなどは、今や滅多にお目にかかれないので、Han-naファンは必見である。
そして、ショウジは、この番組のMCとして、新たな才能を開花させていた。初回は若干硬さもあったが、回を追うごとにこなれてきて、今や「MCのプロの方だと思いました」という声もある程だ。
途中、ひとみちゃんが昔お世話になったという城戸さんがスタジオに打ち合わせにみえた。
東京で会社を始め、新人発掘の仕事をしていた頃からのおつきあいだそうだ。
介護のため急遽実家に戻らざるをえなくなったひとみちゃんは、この方には随分不義理をしてしまったのだと言っていた。久しぶりの電話も、怒っているんじゃないか…と緊張したらしいが、病気のこと・今回のプロジェクトのことを話すと、快く協力を申し出てくれたという。有り難いことだ。
城戸さんとは、私はあまりお話する機会が無かったが、映像ディレクターとして、主にネオラジオの編集などに携わっていただいた。
結局、この日は何テイクか録ったものの、二人ともまだまだ納得していないようだ。
ものすごく集中していたから、お互いに相当疲れただろう。
とりあえず持ち帰ったが、「INORI」の歌は、また後日あらためて録ることになりそうだった。
翌日、札幌に戻るひとみちゃんからは「楽しい、楽しいレコーディングでした！本当に幸せでした。」とLINEが入った。
体は辛かったに違いない。それでも、この二日間は、彼女にとってかけがえのない時間だったのだろう。
その充足感が、体調の方にも良い影響を及ぼしてくれることを、私達は心から願っていた。
to be continued…
ヒトミィク・プロジェクト 広本 葉子
※NHK北海道アナウンサー 瀬田 宙大様によるインタビュー
INORI ヴォーカリストの絆／浜崎なおこさん
https://www.nhk.or.jp/hokkaido/caster/t_seta/slug-n0ad27eb545c0
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