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BFN.22

2021/10/25

「Good-bye」は、「CONCIENCIA」と共に最初に渡された曲だったが、完成までに一番時間がかかった曲でもある。

伝えられた方向性からすると、「これは、打ち込みだろ」という思いは、当初から私の胸にあった。
今思えば、さっさとそう言えば良かったのだが、その頃はそれを担えるメンバーもいなかったし、皆で音を出す楽しさも手伝って、しばらくはバンドで捏ねくり回していた。
が、短いリハの中で一から作り上げていくのは、やはり、なかなか難しい。
ホリエさんの参加で、この曲が打ち込みの方に振り分けられた時は、内心ホッとしたものだ。
その後、新たな「思いつき」（これには、しばしば悩まされた！）などもあり、ホリエさんもいろいろと苦労しているようだったが、私は、後はお任せとばかりに高みの見物を決め込んでいた。
ところが、ここへきて、ひとみちゃんが、またまた新しいアイディアを繰り出してきた。
アレンジを変えた二つのvesionを創りたい、というのだ。

随分前に、「こんな感じどう？」と送ったコードワークを気に入ってくれて、それを生かして yoko version を創って欲しい、という。気に入ってくれたのは嬉しいが、この頃にはホリエさんのラフも良い感じで上がってきており、「もうひとつ要る？」というのが本音だった。
しかし、相手は、言い出したら後には引かない倉本ひとみだ。もちろん、やります。
それに、yoko version とは言っても、最終的に細部を考え、実際にプログラミングするのはホリエさんなのだ。結局、大変なのは、我らがサウンドPであった。
この曲は後に、朱鷺versionと瑠璃version、として発表された。
ひとみちゃんの歌も顔つきを変えていて、出来上がってみれば、どちらも其々の良さがある。
私の印象では、朱鷺の方が、より切なく、瑠璃の方は、ちょっとダークな感じだ。
yoko version は、もちろん、ダークな方である。

「有明の月をみている」は、元々は「有明の月をみていた」という曲だった。
前にも少し触れたが、ヤンズの提示したアレンジを聴いたひとみちゃんが、歌詞を変えたのだ。

元の「有明」の主人公は、どちらかというとちょっと危うい儚げな女のイメージだった。
そのイメージからすると、たしかに、キレのあるカッティングとカホンのリズムは、もう少し抑えてもいいかな、という気はした。しかし、まさか歌詞の方を変えるとは、私には思いもよらなかった。
どう変えるのか、その時はわからなかったが、のちに歌詞が上がってきて、腑に落ちた。
この時は、あらためて、彼女の表現者としての拘りを見た気がしたものだ。
「有明の月をみている」は、「みていた」の主人公の10年後、今を生きる成熟した女の物語となった。

一方で、当然、原型の「みていた」も形にしたいひとみちゃんは、「カサブランカ」のコーラスで久々に再会した野呂君を、もう一度、表舞台に引っ張り出した。ここでも拘りをみせ、「これなら、野呂君の声が生きると思うんだ！」と、彼の声に合わせて、キーやアレンジの要望を変えてきた。
こうして、「Good-bye」とはまた違う形で、二つの顔を持つ曲が出来上がった。
其々、ひとみちゃんの歌は勿論、ヤンズ、野呂孝一の二人の、存在感のあるヴォーカルも素晴らしい。
この二曲の配信・パッケージは、まだ先のことになりそうだが、その暁には是非、聴き比べて楽しんで欲しいと思う。

ここまで書いて、待望の1stアルバム発売の連絡が来た。うーむ。
このブログでは、その手のプロモーションはしない方針だったのだが。背に腹は変えられない。
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to be continued…

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