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BFN.26

2021/11/22

かねて話に出ていた「もう一曲」のデモは、この頃、既に渡されていた。
後に、3rd digital singleとなった「Proof」である。

「Proof」については、ひとみちゃんが自身の言葉で思いを綴った文章が、過去のブログに残っている。
彼女が曲について語っている数少ない貴重な記録だ。是非、そちらを読んで頂きたい。
自分の夢を追い求めて親元を離れた「私」が母を想うこの曲には、同じような立場の多くの人々が、胸を締め付けられるだろう。かくいう私も、その一人だ。
けれど、自分の手を離れていく娘や息子を、親は淋しく思いながらも、応援してくれているものだ。
素晴らしいヴォーカリストとして世に羽ばたいていったひとみちゃんを、お母様はきっと誇らしく思っていたに違いない。
先に完成していた他のどれでもない、この曲を3rd singleとして発表したことは、ひとみちゃんからお母様への贈り物だったのかな、とも思う。

この頃から、受け取ったデモに私がコードをつけて、ひとみちゃんに返し、0Kが出たところでホリエさんにアレンジをお願いする、という基本的な流れが出来てきた。
私の方は、時々出てくる謎コードを紐解きつつ、コードワークを考えて仮ピアノを入れるだけで良かったが（とはいえ、それなりの苦労はあります！）、リズムを含めた全体のアレンジに関しては、ひとみちゃんとホリエさんの間で、相当時間をかけたやり取りが為されていた。

同時に、新たな企画として、なおちゃんの曲をプロデュースするという話が出ていた。
これには、朋友であり敬愛するアーティストでもある「浜崎なおこ」のいつもと違う一面を自分が引き出してみたいという思いと同時に、再開したwakka music の今後のコンテンツとして、力のあるヴォーカリストを世に送り出していきたいという考えがあったようだ。
なおちゃんを皮切りに、その基盤を作っていければ、と言っていた。

その曲として選ばれたのが、「バレリーナ」。
REPLICA時代からの名曲で、なおちゃんが、ずっと大切に歌い続けている曲だ。
私自身も、彼女のライヴで何度か一緒に演奏している。これを、全く新しいアレンジでやりたいという。
ファンからの人気も高い曲、ということは、ハードルも高い。
そもそも、他人をプロデュースするというのは、とても難しい仕事だと思う。
しかも、これからデビューする新人というならともかく、相手は実力もキャリアもあり、確固とした自分の音楽を持った、同年代のアーティストだ。
これは、ひとつのチャレンジである。大変な作業になるだろうが、なおちゃんは快くこれを受け入れ、ひとみちゃんは、ワクワクしながら思案を巡らせていたようだ。
この曲がどんな変貌を遂げるのか、私も楽しみではあったし、この「ワクワク」がまた、彼女の活力の源になるのだろうと信じていた。

さて、先日、待ちに待った1stアルバム「Proof of Life」のサンプルが届いた。
う～ん。感無量。ジャケも良い感じ。ひとみちゃんの好きな色合いだ。
世の中、配信が主流らしいが、昭和の女は、やっぱり、手に取れる、形あるモノが、ありがたいの。

発売まで後少し。ヒトミィクが遺した「証」が沢山の耳に届きますように。

to be continued…

ヒトミィク・プロジェクト　広本　葉子